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いかなる姿勢で運命に立ち向かえばよいのかという問い(というか作品テーマ)に対しては、キャラクターによっては覚悟であったり誠の行動であったり数秒後の未来予知であったりするんですが、このテーマに対してSBRではかなり試行錯誤してきたと思います。
「『納得』はすべてに優先する」の言はジャイロの回答ですが、あれは作品の回答だと断言するところまで行ってませんでした。

「テニスボール」の話があります。
ネットの真上にはじかれたテニスボールはこちらのコートに落ちるのか、相手のコートに落ちるのか、それは神のみぞ知ることだから人間がむやみやたらに干渉してはいけない、ということです。とかく現実というものは複雑な因果関係の総体だから、何もかも自分でコントロールできると思うなよと。そういう考えはむしろ傲慢であり、自身の領域外に無闇に手を出す重みを知れという内容です。

読めば読むほど「善悪を超えた概念がある」という荒木先生の声が聞こえてきそうでした。たしか荒木先生はドラマ「24」で「善悪を超えた点のプロ精神」に感動したと述べていましたが、本当にそういう内容になってきたんですよ。少なくともジャイロ父は「24のプロ精神」でしょう。

で、このままでは単に運命に対する諦観になりかねない上、ジャイロ君がそこまで老成するとつまらないわけで、当然ながら逆行します。まさに豚の反対はシャケです。14巻のジャイロシャケがどうやって勝ったかというと、「奇跡」のおかげです。

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内容の説明は省きますがつまり14巻では完全に奇跡で勝ったんですよ。
相手の攻撃が逆に功を奏して勝ったんです。従来のジョジョ的環境利用闘法でいえばこういう場合はたいてい「相手にわざと攻撃させていて」勝っていたわけです。ジョジョ的知略戦です。でもSBR14巻は本当に「奇跡」だったんですよ。主人公の意図せぬ現象によって。5部までしか読んでない人がいきなりここ読んでもついていけない可能性は高いと思います。

ジョジョは5部終盤から強く「運命」を意識しながら描かれるようになったと思いますが、もうSBRはその最たるものです。腹に雑誌を詰め込んだりとか相手の手首に磁石つけたりとかしても(全部承太郎ですが)運命に勝てないとダメです。これまでのジョジョ戦は多く 「キャラ性能」+「環境」 で進んできましたがそこにこれからは「運命(およびキャラの運命観)」が絡んでくるんです。
ストーリーとキャラ相関図もそうなんですが、複雑にあらゆる要素が絡んでくる漫画になったなあと思います。このままベルセルク化して、終わらない話になってしまわないか心配でもあります。個人的にはジョジョ7部というより完全新作として読んでいます。

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でも面白いんですよね。やたら運命観が絡んできたり、ジャイロサイドとルーシーサイドという、ストーリーの併走があったりとこれまでにない要素がかなり盛り込まれてるんですけど、荒木先生はキャラへの管理と放任のギリギリの妥協点でどうにか作品世界を把握しきってると思います。
きっと大変だと思いますよ。荒木先生も今までここまで多くのキャラクターの思想と対話しなくちゃいけなかった経験はないと思います。

で、14巻の回答ですけど「せめて奇跡を信じ、覚悟を決めろ」ということではないでしょうか。荒木先生にとっての幸福論とは運命の把握ではありません。4部以降のラスボスの死がそれを物語ってます。立ち向かうことこそ荒木世界における幸福だと思います。
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