ブルーレイ版の『 FFVII AC 』観ました。内容が内容なのでブルーレイ仕様はまさに鬼に金棒です。
吹雪の一粒一粒が、水の一滴一滴が、美しい男や女たちの一人一人が、それはもう、これでもかと言わんばかりの鮮度で網膜に迫ってきます。
ですがそうした映像の美しさに感動しながらも、その感動はこの映画を始めてみたときのそれよりも遥に劣ることに安心しました。
『 AC 』の最大の美点は画面の鮮明さでもでもリアルであることでもなく、その絵柄の美しさにあります。
たとえば井上雄彦であるとか星野之宣であるとか、その辺の超 A 級画力の作家に秒間何百枚クラスの美人画を描かせてアニメする、といったことが CG なら出来る。そしてこの映画はそれを実行した。
これが「絵」じゃなくて「写真」を目指したのならあんな感動は得られなかったと思います。映像が発達した昨今、それでも絵画だの二次元イラストだのが生き残っているかというと、人間の目は全てを認識するのではなく「美しい」と思った部分を認識したがるからです。「絵に描いたような美しさ」という言葉が示す通り、人為的な美は写実的な美を凌駕しうる。だから毛穴だのシミだのそんなものをリアルにしたって意味はないわけで、フル CG なら「絵」に徹する明確なメリットがあるのです。
『 AC 』の「絵」としての創意は画面の鮮度やリアルというものに負けていなかった。ここが素晴らしい。だからこそ、ブルーレイでの感動はそうは大きくなかったんです。いや、これはほめ言葉なんですが。
と、ここまでほめておいてその一方で加筆分があまりに蛇足に過ぎる点が残念でしたね。
前半にムダなシーンを付加しすぎて原作の持っていた疾走感が失われてしまっているのが残念。
特にそれは回想シーンに多いんですが、もともとそこまで思想性の高い映画ではないので意味ありげなシーンをいくら追加しようが眠くなるだけです。どうせならバトルシーンにこそバカスカ追加すべきであって以下略。
あと、妙なサブリミナル効果とか動きまくるカメラワークもやめてください。
ティファが役立たずの巨乳から役に立つ巨乳に変わったのはいいとして、銛のおっさんの活躍を奪わないで、とか。
他にも出血シーンとかはこの作品にはそう求められているものではないと思うのですよ。基本的にはおとぎ話みたいなところあるから。
いらん台詞も付け足しすぎです。
******
あと、『ダークナイト』で興味を持った新バットマンシリーズの感想。
『バットマン ビギンズ』です。
率直に言って、『ダークナイト』の出来はまぐれ当たりの場外弾だったのかも、ということ。
『バットマン ビギンズ』は実際面白い映画でした。いわば近年流行のエピソード 1 的手法。過去を描くことでオレだけのバットマンを作っちゃうという同人的動機。それらを形にする能力をノーラン監督はちゃんと持ってるし、きちんと懇切丁寧に説明してくれる。
だがそれが退屈。ノーラン監督は一から一つ一つロジックを積み重ねていって結論に到達するタイプですよね。約 2 時間にそれだけのエピソードを几帳面に詰め込んでくれているけど、そこに疾走感や勢いはない。いわばバットマンの説明書をずっと読み聞かせられる感覚といいますか、登場人物も説明的なことをちょくちょく口にするし。
しかもノーラン監督はアクション描写が致命的に下手です。「誰が誰を攻撃しているのか」「敵は誰なのか」ってのがピンとこないからカタルシスに浸れない。これは人物相関図にしてもそうでエピソードやキャラが有機的に結びついていかないところがあるのですよ。テーマ偏重のつくりがなおさら「説明」の様相を強くしてしまっている。
上記の欠点は実は『ダークナイト』にも当てはまることなんですが、あれはジョーカーというアンチテーゼがいてくれたおかげで多分に説明的描写を省くことが出来たんです。むしろそうした上記の不器用さが「リアル」というほめ言葉にすらなってた。
というわけで 3 作目も出来るようですが(多分見に行くけど)あまり期待はしないと思います。
なんか今日愚痴ばっか。
吹雪の一粒一粒が、水の一滴一滴が、美しい男や女たちの一人一人が、それはもう、これでもかと言わんばかりの鮮度で網膜に迫ってきます。
ですがそうした映像の美しさに感動しながらも、その感動はこの映画を始めてみたときのそれよりも遥に劣ることに安心しました。
『 AC 』の最大の美点は画面の鮮明さでもでもリアルであることでもなく、その絵柄の美しさにあります。
たとえば井上雄彦であるとか星野之宣であるとか、その辺の超 A 級画力の作家に秒間何百枚クラスの美人画を描かせてアニメする、といったことが CG なら出来る。そしてこの映画はそれを実行した。
これが「絵」じゃなくて「写真」を目指したのならあんな感動は得られなかったと思います。映像が発達した昨今、それでも絵画だの二次元イラストだのが生き残っているかというと、人間の目は全てを認識するのではなく「美しい」と思った部分を認識したがるからです。「絵に描いたような美しさ」という言葉が示す通り、人為的な美は写実的な美を凌駕しうる。だから毛穴だのシミだのそんなものをリアルにしたって意味はないわけで、フル CG なら「絵」に徹する明確なメリットがあるのです。
『 AC 』の「絵」としての創意は画面の鮮度やリアルというものに負けていなかった。ここが素晴らしい。だからこそ、ブルーレイでの感動はそうは大きくなかったんです。いや、これはほめ言葉なんですが。
と、ここまでほめておいてその一方で加筆分があまりに蛇足に過ぎる点が残念でしたね。
前半にムダなシーンを付加しすぎて原作の持っていた疾走感が失われてしまっているのが残念。
特にそれは回想シーンに多いんですが、もともとそこまで思想性の高い映画ではないので意味ありげなシーンをいくら追加しようが眠くなるだけです。どうせならバトルシーンにこそバカスカ追加すべきであって以下略。
あと、妙なサブリミナル効果とか動きまくるカメラワークもやめてください。
ティファが役立たずの巨乳から役に立つ巨乳に変わったのはいいとして、銛のおっさんの活躍を奪わないで、とか。
他にも出血シーンとかはこの作品にはそう求められているものではないと思うのですよ。基本的にはおとぎ話みたいなところあるから。
いらん台詞も付け足しすぎです。
******
あと、『ダークナイト』で興味を持った新バットマンシリーズの感想。
『バットマン ビギンズ』です。
率直に言って、『ダークナイト』の出来はまぐれ当たりの場外弾だったのかも、ということ。
『バットマン ビギンズ』は実際面白い映画でした。いわば近年流行のエピソード 1 的手法。過去を描くことでオレだけのバットマンを作っちゃうという同人的動機。それらを形にする能力をノーラン監督はちゃんと持ってるし、きちんと懇切丁寧に説明してくれる。
だがそれが退屈。ノーラン監督は一から一つ一つロジックを積み重ねていって結論に到達するタイプですよね。約 2 時間にそれだけのエピソードを几帳面に詰め込んでくれているけど、そこに疾走感や勢いはない。いわばバットマンの説明書をずっと読み聞かせられる感覚といいますか、登場人物も説明的なことをちょくちょく口にするし。
しかもノーラン監督はアクション描写が致命的に下手です。「誰が誰を攻撃しているのか」「敵は誰なのか」ってのがピンとこないからカタルシスに浸れない。これは人物相関図にしてもそうでエピソードやキャラが有機的に結びついていかないところがあるのですよ。テーマ偏重のつくりがなおさら「説明」の様相を強くしてしまっている。
上記の欠点は実は『ダークナイト』にも当てはまることなんですが、あれはジョーカーというアンチテーゼがいてくれたおかげで多分に説明的描写を省くことが出来たんです。むしろそうした上記の不器用さが「リアル」というほめ言葉にすらなってた。
というわけで 3 作目も出来るようですが(多分見に行くけど)あまり期待はしないと思います。
なんか今日愚痴ばっか。
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