ラスト休日を締めくくるべく観にいったんですが、開始 20 分で「どうしてこんなタルい映画を休みの最後に見に来てしまったのか、それもレイトショーを…」と後悔しつつ、開始 30 分で「いきなり面白くなったけどもっと体調を整えてくるべきだった」と後悔しつつ、最終的には「予備情報完全ゼロの状態で観にいったミギレキは勝ち組」と言える様な至福感を感じつつスクリーンを後にしました。
「体調の優れない人はご遠慮ください」の注意書きは伊達ではなかったな。車酔いとか 3D ゲーム酔いする人は軽く死ねる映画でしょうね。自分はそういう属性がない人間だったので助かったけど。あと、これ最前列で見たら三半規管がイかれるかもしれません。後ろで見ましょう後ろで。
******
この映画は、エイリアンもプレデターも仲良く競演するレベルに堕したハリウッドモンスター界にあってまさに傑出した「モンスター映画」であり、ニッポンのゴジラ、ガメラと比肩しても劣ることのない「怪獣映画」だ…とかそれくらいは言ってあげていいんじゃないでしょうか。それくらい面白かったもの。
やはりゴジラ映画を一人称シューティングゲーで見せ続けるこの手法が見事でした。登場人物が撮ったハンディカムビデオを私たちも見ているという設定なんですが、「ゴジラが現れた東京都民はこんな感じに逃げ惑ってるんだろうなあ」とかそんなことを逞しく想像しちゃうんですよ。不快感を伴った手ブレ気味のアングルもいい効き目出してました。
その証拠に映画全体としてモンスターの出るシーンはごくごくわずかです。なぜなら逃げ惑う市民がモンスターをまじまじ撮影する暇なんてないわけだから。
だが、それがいい。地下鉄で、アパートで、公園で、観客は登場人物と一緒に逃げ惑う不安や恐怖を共有することで、モンスターの怖さをむしろ逆説的に感じ取っていくわけです。初期エイリアンにも似た要素ですね。見えないからこそそれは恐ろしく、実物以上に強大に感じられる。
ミギレキが最もインパクトを感じたのは軍隊が出てきてロケットランチャーやら戦車砲撃ったりする冒頭部。普通は軍隊が出てくるシーンって言うのはある種のワクワク感があるものです。観客としてはこれから始まるバトルに期待できるわけですから。しかし今回感じたのは名状しがたい不安感でした。近所で事故があってパトカーや警官がたくさん集まってくるのザワザワした気持ち。実際の「有事」っていうのはこういう状態を言うのかもしれません。
この辺がじつに本作は秀逸なんですよね。一見素人の撮ったドキュメンタリーに見えつつも、娯楽作品としてのメタ視点を存分に盛り込んで「映画」として完成させている。酔いさえしなければまず退屈はしないでしょう。
それでここが一番ほめてあげたいところなんですが、モンスターの正体をまったく解説しないところが素晴らしかった。
冷や冷やしてたんですよね。「まさか最後に全ての因果関係を解説したりしねーだろーなー」みたいな。この映画に「なぜモンスターが現れたか」なんていう視点は不要です。ただただ正体不明の暴君に虐げられる主人公たちに感情移入すべき映画なんですから。頭を働かせちゃダメです。
その点、最後の最後まで「わかんないことはわかんない」で終わっちゃうのが見事。
できれば続編で種明かしなんてしないで「なかったことにしてください」って感じでこのまま終わってほしいなあ。『 CUBE 』シリーズとかそれでだめになっちゃったじゃん。ここは観客を突き飛ばすべき。
あと全員が死ぬって言うエンドも素晴らしかったけどね。
そしてこれを一番面白く見れる人々って多分マンハッタンに住んでる人たちでしょう。うらやましい。自由の女神の生首が吹っ飛んでくるシーンとか現地人はもっと生々しいインパクトを得られたでしょうね。極端な話皇居にテポドンくらいの威力はあると思いますよ。
******
というわけで実に面白い映画でした。まあ強いて言えば「最初の 20 分で眠りそうになった」「恐怖の対象はできるだけでかいモンスター一頭に絞るべきで、小さいモンスターはいらない。そういうのはエイリアンとかにやらせとけ」「 HAKAISYA っていうサブタイは言うのが恥ずかしいからやめろ」くらいなものです。
見るだけ何の教養にもならない素晴らしい娯楽でしたね。
「体調の優れない人はご遠慮ください」の注意書きは伊達ではなかったな。車酔いとか 3D ゲーム酔いする人は軽く死ねる映画でしょうね。自分はそういう属性がない人間だったので助かったけど。あと、これ最前列で見たら三半規管がイかれるかもしれません。後ろで見ましょう後ろで。
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この映画は、エイリアンもプレデターも仲良く競演するレベルに堕したハリウッドモンスター界にあってまさに傑出した「モンスター映画」であり、ニッポンのゴジラ、ガメラと比肩しても劣ることのない「怪獣映画」だ…とかそれくらいは言ってあげていいんじゃないでしょうか。それくらい面白かったもの。
やはりゴジラ映画を一人称シューティングゲーで見せ続けるこの手法が見事でした。登場人物が撮ったハンディカムビデオを私たちも見ているという設定なんですが、「ゴジラが現れた東京都民はこんな感じに逃げ惑ってるんだろうなあ」とかそんなことを逞しく想像しちゃうんですよ。不快感を伴った手ブレ気味のアングルもいい効き目出してました。
その証拠に映画全体としてモンスターの出るシーンはごくごくわずかです。なぜなら逃げ惑う市民がモンスターをまじまじ撮影する暇なんてないわけだから。
だが、それがいい。地下鉄で、アパートで、公園で、観客は登場人物と一緒に逃げ惑う不安や恐怖を共有することで、モンスターの怖さをむしろ逆説的に感じ取っていくわけです。初期エイリアンにも似た要素ですね。見えないからこそそれは恐ろしく、実物以上に強大に感じられる。
ミギレキが最もインパクトを感じたのは軍隊が出てきてロケットランチャーやら戦車砲撃ったりする冒頭部。普通は軍隊が出てくるシーンって言うのはある種のワクワク感があるものです。観客としてはこれから始まるバトルに期待できるわけですから。しかし今回感じたのは名状しがたい不安感でした。近所で事故があってパトカーや警官がたくさん集まってくるのザワザワした気持ち。実際の「有事」っていうのはこういう状態を言うのかもしれません。
この辺がじつに本作は秀逸なんですよね。一見素人の撮ったドキュメンタリーに見えつつも、娯楽作品としてのメタ視点を存分に盛り込んで「映画」として完成させている。酔いさえしなければまず退屈はしないでしょう。
それでここが一番ほめてあげたいところなんですが、モンスターの正体をまったく解説しないところが素晴らしかった。
冷や冷やしてたんですよね。「まさか最後に全ての因果関係を解説したりしねーだろーなー」みたいな。この映画に「なぜモンスターが現れたか」なんていう視点は不要です。ただただ正体不明の暴君に虐げられる主人公たちに感情移入すべき映画なんですから。頭を働かせちゃダメです。
その点、最後の最後まで「わかんないことはわかんない」で終わっちゃうのが見事。
できれば続編で種明かしなんてしないで「なかったことにしてください」って感じでこのまま終わってほしいなあ。『 CUBE 』シリーズとかそれでだめになっちゃったじゃん。ここは観客を突き飛ばすべき。
あと全員が死ぬって言うエンドも素晴らしかったけどね。
そしてこれを一番面白く見れる人々って多分マンハッタンに住んでる人たちでしょう。うらやましい。自由の女神の生首が吹っ飛んでくるシーンとか現地人はもっと生々しいインパクトを得られたでしょうね。極端な話皇居にテポドンくらいの威力はあると思いますよ。
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というわけで実に面白い映画でした。まあ強いて言えば「最初の 20 分で眠りそうになった」「恐怖の対象はできるだけでかいモンスター一頭に絞るべきで、小さいモンスターはいらない。そういうのはエイリアンとかにやらせとけ」「 HAKAISYA っていうサブタイは言うのが恥ずかしいからやめろ」くらいなものです。
見るだけ何の教養にもならない素晴らしい娯楽でしたね。
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