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不勉強にして『バットマン』を観ていないので、「アーノルド・シュワルツネッガーが変な冷凍ビームを打ちまくって街中を氷漬けにした」くらいの先入観しかないんですが、新シリーズになるとかなり真面目な作品になったんですね。
DVD借りて『ビギンズ』も観ておくべきであったよな。

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個人的には大満足でした。
この手の映画ではとにかくキャラ立てが重要です。
彼が何が許せて何が許せないのか。
彼は何がラブで何がファックなのか。
板垣恵介的な文脈で言うと「とてつもなくどんな人なの?」っていうあれ。

そういう意味でヒース・レジャー演じるジョーカーはキチガイが立ちまくっていました。
本作が実質の遺作らしいです。合掌。

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ジョーカーの何がキチガイかというと、彼は徹底して「無敵の人」である、ということです。
つまり守りたいものなんて一つもない。
築き上げたいものもいっこもない。
だから話は通じない。
何だってやってしまう。
ジョーカーは社会の手に余りすぎる徹底した「一個人の無秩序」であり、忌むべきイレギュラーなのです。

ミギレキ個人としてはこのジョーカーと言うキャラ造形が本作の白眉でしたね。
ここまで見事に振り切れて、なおかつ理路整然と狂った言説を弄する狂人キャラは早々作れないでしょう。

ジョーカーが「安い火薬とガソリンで」札束の山――マフィアから奪った金――を焼き尽くすシーンがありますが(このシーンでこの映画は絶対に面白いという確信を持った)、彼の性格はあのシーンに集約されています。

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あらゆる悪意は本来愛に基づく概念に立脚しています。
この点マフィアも一般市民も変わりはない。
マフィアは金を愛するからこそ人を殺しますし、一般人は安全を愛するからこそマフィアを憎みます。
この点で犯罪者と善良な市民の対立という構図が完成するんですが、ジョーカーはその対立を構成することすらコケにしている。

彼からすれば犯罪者も一般人も何かを守り、支配し、構築しようとしていることに変わりはないわけで、むしろそういうルールをぶっ壊して高みの見物をしたい。
世界が破壊されてもどうでもいい。
「世界征服」ですら、ジョーカーからすれば下らない構築ですらないんだから。

こういう男はもうどうしようもないわけで殺すしかないんですけど、バットマンは人を殺せませんよね?
何も欲しくない、何も守らない、そんな限りなく純潔な悪意に対してヒーローはどう対しうるのか――それが『ダークナイト』のテーマでしょう。

この堅牢なテーマとキャラクター造形、そして明確な答えを持っている点で、ミギレキは『ダークナイト』を強く評価します。
「長い、暗い、重い」と言われてますけど、そうしたカタルシスの無さが本作の魅力ですよ。

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具体的ネタバレは避けますが、結論から言うと主人公は漆黒のキリストになることですべてを解決しようとします。
嵐に打ち勝つには自身も嵐になるしかない。
そのとき、ヒーローは普通の人たちとは隔たりのある存在になってしまう。
ゆえにヒーローは孤独なのです。

アメリカでこの映画がヒットしたのは自身らが世界のダークナイトだという英雄的マゾヒズムに共感したのかもしれません。
まあ近いうちに『ビギンズ』も観ようと思ってます。
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